女性ホルモンの周期と効果的なダイエット

女性ホルモンの周期と効果的なダイエット

女性のみなさんは月経前には太りやすい、体重が落ちにくいことを経験されていると思います。これはホルモンの影響です。他にも月経前には便秘気味になったり、お腹が空いた訳でないのについつい食べてしまったり、これらのこともホルモンが関係しているのです。

2つの女性ホルモン

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。エストロゲンの主なはたらきは女性らしさを作ること、それに対してプロゲステロンのはたらきは妊娠を助けることです。

月経周期

月経周期

通常、月経周期は28日(4週、約1ヶ月)前後です。生理(月経)1日目〜7日目頃までを月経期といいます。

月経8日目頃には既に終わっており、8日目〜14日目頃までを卵胞期といいます(月経期を卵胞期に含めて考える場合もあります)。卵胞期には徐々にエストロゲンの分泌が増えてきます。

月経14日目頃になると排卵が起きます。排卵を境に女性のホルモン状態はガラッと変わり、月経14日目〜28日目にはプロゲステロンの分泌が増え、黄体期といいます。黄体期は前半の1週間と後半の1週間に分けられ、特に後半の1週間の時期に、人によっては月経前症候群(PMS)といって、疲れやすかったり、イライラしたり、気持ちがうつ状態になったり、緊張した状態になったり、体が浮腫んだり、便秘になったり、胸が張ったり、頭が重かったりと様々な症状が出ることがあります。

エストロゲンと脳内セロトニンの関係

エストロゲンのはたらきのひとつに、脳の中のセロトニンというホルモンの分泌を促す働きがあります。セロトニンは心と体を安定させるため、「幸せホルモン」とも呼ばれます。

プロゲステロンとセロトニンの関係

エストロゲンが脳内のセロトニンの分泌を促す一方、プロゲステロンはセロトニンの分泌を減らします。

セロトニンがしっかりと分泌されないと、気分が落ち込んでうつ状態になったり、イライラしたり、栄養がしっかり足りており、本当にお腹が空いている訳ではなくとも、ついつい食べ物を口にしてしまう偽の食欲(エモーショナルイーティング)が起きてしまうのです。

月経前にイライラしたり、無性に何か食べたくなったりするのは、月経前に増えたプロゲステロンによって脳内セロトニンの分泌が減ってしまうことによるのです。ちなみに月経周期(約1ヶ月)のうちの約半分を占める黄体期にはプロゲステロンにより脳内セロトニンが減っている時期と捉えることができます。

男性にはこうした黄体期のような脳内セロトニンが減る時期というのがありません。脳内セロトニンの作られる量が、女性は男性の52%と約半分であることも、1ヶ月の約半分を占める黄体期が女性ではあり、男性ではないことから頷けますね。

プロゲステロンが「おデブホルモン」と揶揄される理由

1.前述のように脳内セロトニンの分泌を減らすことによって、エモーショナルイーティングが起きてしまう。
2.水分を体に蓄えるはたらきがあり、むくみがでやすい。
3.腸の動きを弱めたり、腸のむくみを起こすことにより、便秘になりやすい。便秘だと体重が減りにくい。

このため、プロゲステロンが増える黄体期は、ダイエットが思うようにいかないのです。女性のダイエットが上手くいくか否かは、いかに黄体期に挫折せず、乗り越えられるかにかかっていると言っても過言ではありません。

黄体期を上手く乗り越える3つの戦略

1.エモーショナルイーティングを上手く抑える。
2.脳内セロトニンを増やす。
3.代謝を増やす。

これらは別に黄体期だけにしか行ってはいけない訳ではありません。月経期や卵胞期にも行った方が良いのですが、特に黄体期に心がけて欲しいということです。

エモーショナルイーティングは特に夜間に起きやすいため、夜遅くまで起きているのは止めましょう。また口寂しくなったら気分転換を図りましょう。気分転換の方法は後述する脳内セロトニンを増やす方法とほぼ共通します。

脳内セロトニンを増やす方法はいくつかあります。詳細は後述します。

代謝を増やすためには、夜しっかり眠る、いつもシャワーで済ませている方は湯船に浸かる、熱いお湯と冷たい水のシャワーを交互に浴びるなどです。

黄体期こそ意識したい脳内セロトニンの増やし方

黄体期こそ意識したい脳内セロトニンの増やし方

1.朝、起きたら太陽の光をしっかり浴びる。
2.リズミカルな運動を行う。
3.セロトニンの材料であるトリプトファンを多く含む食品を摂る。
4.セロトニンを作るのに必要なビタミンB6を摂る。

セロトニンを増やすことで、何か体に不都合が起きることはないか、もしくはエストロゲンやプロゲステロンの周期のバランスを崩したりすることはないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、生活習慣にて増やす限りにおいては、弊害はほぼありません。うつ病の治療などで用いられる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(抗うつ剤の一種でセロトニンの再吸収を阻害することにより、うつ症状の改善を目指す薬)が効きすぎた場合には、セロトニン症候群といって頭痛、めまい、嘔吐などの症状がでることがありますが、ここで述べた生活習慣にて増やす場合には、そのようなことはないのでご安心下さい。

朝、起きたら眠たくてもカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。太陽の光を浴びることで脳内セロトニンは増えるのです。余談ですが、秋季から冬季は女性の季節性気分障害(俗に言う冬季うつ病)が増える傾向があります。これは女性が男性よりも脳内セロトニンが少ないこと、秋季から冬季は夏季に比べて日照時間が短く、脳内セロトニンが作られる量が夏季よりも減るためと考えられています。

リズミカルな運動は、ウォーキング、貧乏ゆすり、歯磨きなどです。ゆっくりと数を数えながら行うストレッチも良いでしょう。

トリプトファンはバナナ、納豆、豆乳、肉、赤身魚、たらこ、すじこ、ゴマ、チーズなどに多く含まれています。トリプトファンはヒトの体内では合成できない必須アミノ酸の一つです。

ビタミンB6は鶏肉、豚肉、レバー、赤身魚などに多く含まれています。サプリメントも市販されていますし、医療機関で処方を受けることができるピドキサールなどの内服薬もあります。

まとめ

黄体期はダイエットの結果が出づらく、心が折れそうになりがちですが、いかに日常生活の中で、脳内セロトニンを増やすことができるかが、ダイエット成功の鍵となります。

脳内セロトニンを増やすことは、ダイエット効果だけでなく、気分が明るくなる、夜に快眠を得られる、疲れがとれやすくなるなど、心と体にいいことがいっぱいです。黄体期こそ、普段の生活を見直すチャンスと前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。

参考文献

米山公啓監修(2011)、お医者さんだけが知っている新・医学常識のウソ・ホント、ナガオカ文庫
青木晃(2012)、寝る以外なにもしないでください 睡眠ダイエット、サプライズBOOK
伊藤裕(2015)、なんでもホルモン、朝日新書